血尿について教えて下さい

日本医師会雑誌153巻第6号を参照に編集。

血尿を認めた場合、それは尿が作られ、そして排泄されるまでの通り道の何処かに異常があると言うことを意味します。

具体的には腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道のいずれかの問題と言う事になります。

実際の医療では
①腎臓内科
②泌尿器科
が担当する領域になります。

実際には内科を始めとする他科で初療を受けてからこれらの診療科に紹介される事も多いと思われます。

1、腎臓内科で扱う血尿
腎臓は血液を濾過する装置ですが、腎臓内科では腎臓癌や先天性の形態異常など手術が必要となる腎臓疾患以外の腎臓の病気を扱います。

微量の血尿(目で見ても分からない)を顕微鏡的血尿と呼びますが、顕微鏡的血尿はまずは腎臓内科の受診が的確と思われます。

血尿単独の場合と蛋白尿を伴う場合があり、少なくとも初期には血尿単独のことが多い病気としては、良性家族性血尿、菲薄基底膜病、IgA腎症などがあります。

蛋白尿を伴う場合は生命予後に影響が及ぶ事が多い病気の可能性が上がり、糸球体腎炎、遺伝性疾患であるAlport症候群、ループス腎炎など他疾患に併発する腎炎などを念頭に置くことになります。

2、泌尿器科で扱う血尿
腎臓から尿道に至るあらゆる部位の病気が泌尿器科のテリトリーです。

その中でも癌の生命予後が不良な為、癌の発見がこの領域で一番大切な診療行為になります。

癌を含めて泌尿器科領域の病気では肉眼的血尿(目で見て分かる)が起こりやすいことが特徴です。

この領域の癌では膀胱癌が圧倒的に多く、その次に腎臓癌が並びます。他の部位の癌はかなり少ないようです。

これらの癌のスクリーニングは尿細胞診、超音波検査、膀胱鏡検査、および造影CT検査などによって行われます。

特に膀胱鏡検査と造影CT検査は特異度、感度ともに優れているようですが、侵襲性も鑑みて、ガイドラインでは低リスク群、中リスク群、高リスク群の3群に分けて検査の進め方を推奨されているようです。

この領域の癌のリスク因子はいくつか知られており、年齢、性別、喫煙歴、肉眼的血尿の既往、有害物質への暴露歴、放射線治療歴、などが分かっているようです。

低〜高リスク群の分類は年齢、尿中赤血球数、上記危険因子の有無、肉眼的血尿の既往、喫煙歴によってなされます。

・低リスク群はリスクが低いため膀胱鏡や造影CTなどの侵襲的な検査は推奨されておらず、尿検査のフォローアップの方針となっています。

・中リスク群は尿検査に加えて膀胱鏡や超音波検査などが推奨されています。

・高リスク群は尿検査に加えて膀胱鏡や造影CTなど積極的な精査が推奨されているようです。

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