骨粗鬆症の治療について簡単に教えて下さい

ドクターサロン vol.68 10 2024より編集。

骨粗鬆症は加齢や閉経などにより引き起こされる特別な原因のない疾患です。

女性ホルモンは骨の維持のために大切な役割を果たしているのですが、閉経後女性ホルモンであるエストロゲンが欠乏する事で骨を溶かす破骨細胞の働きが高まり骨吸収(骨が溶ること)が高まってしまいます。

また、老化によって腸管からのカルシウム吸収が不足することで骨の材料であるカルシウムが不足することになります。

現在、色々な種類のお薬がありますが、骨粗鬆症の治療の目的は病的な骨折を防ぐ事です。
様々な臨床データを基に、骨折(特に大腿骨近位部の骨折がポイント)を予防していると言う明らかなエビデンスのあるお薬を使用することが大事になってきます。

そのような観点から現在の医療では、先程申し上げた骨吸収を防ぐビスホスホネートと言うお薬と、腸管からのカルシウム吸収を促すビタミンD製剤が頻用されています。

その他、抗RANKL抗体(デスノマブ)、副甲状腺ホルモン誘導体(テリパラチド、アバロパラチド)、抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)など、ビスホスホネート以上の効果があると言われているお薬も開発されているのですが、使用期限が限られている事やリバウンドが起こるなどの注意点もある事から、骨折リスクがかなり高い緊急性のある方に使用する特殊なお薬と考えた方が良いかもしれません。

女性ホルモン(エストロゲン)の血栓症誘発リスクを除くために開発されたエストロゲン受容体作動薬も閉経後の女性に使用される事がありますが寿命を短くする原因として重要な大腿骨近位部骨折の予防効果はビスホスホネートには及ばないようです。

なお、ビスホスホネートは長期(目安として5年以上)使用により歯科で抜歯後の顎骨壊死(顎の骨が融けてしまう)や、大腿骨の非定型骨折(通常の大腿骨骨折は骨頭に起きるが、それよりも下に起きる珍しい骨折)のリスクが生じると言われています。
そのため5年継続した後に1〜2年休薬する”ドラッグホリデー”を挟んで再度投与を開始するというサイクルで治療を継続するのが良いようです。

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