C型肝炎の感染者の実態と治療の進歩について教えて下さい

ドクターサロン vol.68 10 2024より編集。

日本人のC型肝炎の患者さんは既に治療をされた方を含めて90〜130万人ぐらいいるのではないかと言われています。
そのうち50万人(半分近く)ぐらいは治療が済んでいるようです。
また、自分がC型肝炎だと知りながら治療をしていない方が20万人〜60万人ぐらいいるだろうと言われています。
一方でまだ自身がC型肝炎ウイルスに感染していることを知らない方が20万人ぐらいいるのではないかと言われています。

肝炎と言うものは、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、肝不全、の順番に進展しておくことが重要なポイントです。
10〜20年前は肝がんの原因の2/3以上がC型肝炎でした。ところが現在C型肝炎はほとんど治るようになり、現在では肝がんの原因の4割強にまで減っているようです。

C型肝炎の治療の歴史を見てみると、
1990年代にインターフェロンによる治療が始まり治癒率は1割弱。
製品改良されベグインターフェロン単剤で3割、さらにリバビリン併用5割。
2014年に新たな経口薬が登場し95%までになりました。

新規に登場した経口薬はプロテアーゼ阻害薬、NS5A、そしてポリメラーゼ阻害薬の3種類ですが、後2者は肝臓の機能に影響されずに体外に排泄される薬のため、炎症が進んで肝硬変になった患者さんでも使用できることがとても意義深いのです。

肝炎の悪化サイクルを画期的に逆回転して改善させる事は困難です。そして一度肝硬変になると肝臓には癌の芽のようなものが存在しています。それが時間の経過とともに癌へと進展してしまい、通常無治療だと肝硬変の方は年間6〜8%の発癌率です。
慢性肝炎の方の場合それが2〜5%で、ウイルス排除により1%以下に下がります。
いかに早期に、慢性肝炎の段階で治療をするかがとても重要になります。

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